第38回全日本サンボ選手権大会
シニア男子9階級、シニア女子2階級を実施。
今年度はユニバーシアード対策に行った講習会(5月にナショナル・トレーニング・センターで実施)の影響か、大学生の参加が目立ちました。
52kg級は、これまで最高位2位だった木口道場の川澄選手が悲願の初優勝。ここ最近は極めの強さも目立ち、まだまだ伸びしろを感じさせます。準優勝の天野選手は、準決勝で昨年度王者の中島選手を破っての決勝進出。見事な試合運びは会場を唸らせました。
57kg級は、昨年度王者の清水清隆選手(TRIBE TOKYO M.M.A)と伊藤要選手が欠場。混戦を勝ち上がったのは大東文化大学レスリング部の米山選手とSKアカデミーとして再スタートを切った元スポーツ会館の鈴木選手。米山選手はレスリングベースの闘いで準決勝までを制しましたが、対する鈴木選手は柔道ベース。米山選手の豪快なリフトが決勝でも通じるかが注目されましたが、勝負は以外にも完全な鈴木選手ペース。投げ技のポイントを重ね、テクニカル一本で勝利。
62kg級を制した西尾選手は昨年度準優勝。昨年度の優勝者・松本秀彦選手を破り勝ち上がった三木選手との対戦はまったく展開の予想がつかない取り組みです。試合は、レスリング的戦法で粘り切った西尾選手が制し嬉しい初優勝。ここ10年以上波乱のなかったこの階級にあらたな波が訪れました。
最も激戦区となったのは68kg級。実力者揃いのこの階級を制したのは、昨年度王者である山崎選手。本年の大会で唯一連覇を果たしました。相手はおなじくサンボの実力者を破り勝ち進んできた東海大学の佐藤選手。サンボのキャリアがものをいい、山崎選手が激戦を制しました。国内のサンボ大会しか経験がない選手ですが、今後世界の舞台でどう闘うかを観てみたい実力者です。
柔道界からも注目されたのが、74kg級。その理由は鳥居選手の出場です。大学生の比率が多いこの階級でしたが、きっちりポイントをとり予想通り鳥居選手が決勝に進みました。対するは東海大学柔道部の原口選手。非常に僅差の、ある意味でサンボらしい試合展開となりましたが、鳥居選手が判定で勝利。サンボでもその強さを誇示しました。
82kg級は本命なき混戦。目立ったのは大阪商業大学の北条選手。結果は準優勝でしたが、柔道ベースの闘いで最後まで勝負を捨てない試合ぶりは会場の注目を浴びていました。学生サンボの名門ともいえる大阪商業大学の今後を担う存在になりそうです。優勝したのは日体大の宮下選手。大学柔道部のレベルの高さをみせつけた結果となりました。
例年、参加人数とは関係なく層の厚い階級といわれているのが90kg級。昨年度優勝した榊原選手が緒戦で敗れる波乱。その榊原選手を破った佐藤選手が、やはり昨年度準優勝で元全日本王者でもある菊地選手を決勝戦で接戦の末に破り初優勝。
100kg級には昨年度3階級を制した千葉選手と、日本代表として世界選手権への出場経験がある田矢選手、昨年の世界ユース代表である國學院大學の菊地選手がエントリー。激戦区となりましたが、決勝の顔合わせはベテラン・千葉選手と期待のホープ・菊地選手。アグレッシブな攻撃を続けた菊地選手が僅差のポイントで判定勝利。シニア初優勝を飾りました。
+100級は、エントリー2名のため、決勝戦のワンマッチ。大阪商業大学の金城選手が東海大学の髙橋選手を破り優勝。
シニア女子48kg級は昨年と同じ顔合わせ。サンボのキャリアに勝る八木沼選手が先制し、楠本選手がそれを追いかけるという展開。おたがいに技がよくでるスリリングな展開ではありましたが、八木沼選手が逃げ切った形で試合終了。スピードある好勝負でした。
シニア女子52kg級はエントリー1名のため、大東文化大学レスリング部の櫻井選手が認定優勝。参考試合も制し、サンボ初体験を勝利で終えました。女子が少ない日本のサンボ界において、今後の継続参戦が期待される選手です。
比較的連覇が多いサンボの全日本選手権ですが、今大会で連覇を果たしたのはMVPを獲得した68kg級の山崎選手のみ。
学生のエントリー増がその要因かも知れませんが、新規参戦で優勝したのは2階級のみ。今後の継続参戦によって、勢力図がどのように変わっていくのかが非常に楽しみです。
(日本サンボ連盟 事務局広報委員会)